ARCHIVE  ENTRY  TRACKBACK  CATEGORY  LINK  PROFILE 
<< March 2024 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
2022.03.11 Friday

antiques tamiser 4月3日(日)黒磯にて開店。僕の思う「オキーフの椅子」の制作お披露目。

東京での20年間の営業を終え、昨年末、栃木に移住をしました。
21年目は僕の故郷である黒磯という町にて新たなタミゼをオープンします。
4月3日(日)の開店を目指し、この数ヶ月間店づくり等の準備で大忙しの日々です。

新店舗の開店を記念して、長年思いをよせていた椅子、僕の思う「オキーフの椅子」を展示販売いたします。

「O'KEEFFE」という、僕にとって大切な思い出のある一冊の写真集があります。

表紙
Georgia O'Keeffe The Artist's Landscape Photographs By Todd Webb( Twelvetrees Press 1984年刊)より。
ポートレート
それは写真家 Todd Webb が、晩年の Georgia O'Keeffe の日常生活を撮りためた作品集です。
オキーフはニューメキシコの荒涼とした土地で晩年を過ごしました。
僕はページをめくるたびに彼女が散歩で拾い集めた大自然のカケラの美しさを知り、顔に浮かぶ深い皺の一つ一つに歳を重ねた豊かさを感じました。
そしてもう一つ、日々彼女の体を支え続けた一脚の椅子に心惹かれたのです。
すらっと背の伸びたハイバックチェアー。
こんな椅子に座ってみたいと何年思い描いただろうか、、、。

椅子写真1
椅子写真2
日常使いの無銘の椅子故に、資料も少なく想像で作り上げるしかないのです。
あらゆるオキーフ周りの作品集から形やサイズを割り出し、「憧れのオキーフの椅子」を再現をしました。
制作を担当するのは、茨城在住の木工家 高木克幸さんです。
彼との付き合いも長くなりました。
10年ぐらい前になるでしょうか、彼は我が家のリビングが掲載されている冊子を携えてきました。
そのページに映り込んでいたテーブルを見様見真似で制作したので、見てもらいたいとタミゼに訪れたのでした。
一途な眼差しと、丁寧な作りに感心しました。
その時に、我が家にはそのテーブルのセットであろうスツールがあることを言い伝え、話が盛り上がりました。
彼の腕前の披露も兼ねて、後日そのスツールを制作することになりました。
それが以前からタミゼで販売している復刻シリーズの無名スツールなのです。
彼は現在、地元茨城や近県のインテリアショップで復刻の家具の作品を毎年発表するなど人気が上がってきています。

こだわりを持つ作り手の高木さんと僕のディレクションで、どんなものが出来上がったかをご期待ください。

限定で「5脚」を展示販売をいたします。



斜め全景
板壁をバックに佇むオキーフの椅子
斜め単体風呂場完成
漆喰壁に佇む椅子

正面単体風呂場完成
斜め後ろ単体風呂場完成
真横単体風呂場完成
さまざまな資料を元に細かな箇所を検証し、いくつかのパターンを作りました。

ツノの高さ風呂場
こけしのような頭の形や梯子状の背もたれの横木の間隔や高さ、足のテーパーの角度や太さ、、、

足の太さ風呂場
2脚の写真
Georgia O'Keeffe And Her Houses Ghost Ranch And Abiquiu
(ABRAMS 2012年刊)より。

オキーフが所有するこの手の椅子の足元に注目。
正面の一番下の横木のほとんどが外されている。

邪魔だからだろうか?


座面二脚見比べ風呂場
座面の大きさや形も検証を。
今回の見せ場の一つはこの木の皮の座面でもあります。
北海道から鬼胡桃の樹皮を手に入れて丁寧に編み込みました。

編み込み留め方
編み込み方や留め方にも注目を。

斜め三脚全景
微妙に異なる違いのある3脚のサンプル椅子。

ついに完成しました「オキーフの椅子」


斜め風呂場完成
オキーフの椅子

材質 メープル
座面 鬼胡桃の樹皮
仕上げ ソープフィニッシュ

高さ 972 mm
幅 443
奥行き 392
座面高さ 434

価格 ¥120、000(税別)

4月3日(日)より、(5客限定)販売をいたします。
初日は高木さんもタミゼにおりますので、制作秘話をぜひ聞いてください。

それでは春の黒磯、大きく豊かさの増した新たなタミゼの空間と、「オキーフの椅子」をご覧ください。
お待ちしております。


場所

antiques tamiser

〒325−0056
栃木県那須塩原市本町3−13

店主
吉田昌太郎
2020.01.25 Saturday

裸のデコイ

デコイ0

元々は本物の羽に包まれていたデコイ。
時が経ち、羽根が剥がれ裸となり、デフォルメされた姿がよりプリミティブさを増しています。

※デコイとは、河辺や湖畔に模した鳥を列べ、鳥たちをおびき出し、銃で撃ち落とすための「おとり」のことです。
デコイ1
素材も形も様々。
今回の鳥たちの一部「くちばし」にご注目ください。
細い枝を糸で束ね、テーパーをかけてリアルな口元に似せているところが実にユニークで興味深いです。

デコイ2
デコイ3

デコイ
1920年頃
オランダ

前回5羽セットで販売致しましたが、(インスタグラム参照)今回残り5羽を1羽ずつの単体で販売いたします。
2019.10.17 Thursday

蜜蜂の巣箱

あの甘いハチミツを採集する蜜蜂の巣箱というと、皆さんは野原に放置されている四角い木箱を思い出すでしょう。 僕も20年程前までは、それがあたりまえの「形」と思っていました。今ではどこの国も普通に巣箱といえば、その木箱が定番だと思います。

目白の「古道具 坂田」といえば、真っ先に思い出すのは、僕にとって今回の写真の蜜蜂の巣箱です。
店主の坂田さんの美術館 as it is に初めて伺った時に、床にドンと佇む、このへんてこなオブジェがとても印象的でした。アフリカのマスクや何かの儀式に使う道具と思い込んでいましたが、まさか大昔の巣箱だったと知った時は、本当に驚きました。

細い木の枝や食物の蔦のしなりを利用し漏斗状に編み込み、表面を泥で固め作り上げているのです。 寄り
今日の箱形の使い回せるものとは違い、強度的にも大変もろいもので、その都度作り直し、または補強をしながら、蜜を採取していたのでしょう。

正面
裏
持ち手
たまに見かける先の尖った形(写真下)のものとは違い、今回見つけたものは、小ぶりでまん丸なとても優しいよい形をしています。
イギリス

中まで覗いたことのある方は少ないでしょう!? 中
相当古い時代のもので、いまだに内側にこびり付いた蜂の巣のかけらから、蜜とビーズワックスの香りが漂っています。とても甘い香りです。
中寄り
ミツバチの巣箱
直径 40cm 高さ 45cm
1900年頃
フランス
売約済
2019.05.25 Saturday

カタルーニャの聖人像

聖人1


心地よい緊張感、気配を放つ一体の大きな聖人像に出会った。

スペインは、カタルーニャ地方で生まれたこの聖人は、
フランスに渡り、イギリス、オランダ、そして今回日本へ。

本来は衣装で隠れている胴体部分が露出し、そのデフォルメされた体が、
ほほを赤く染めた表情豊かな顔つきをさらに引き立たせている。

聖書を読んだこともない自分にも、
心穏やかに、やさしく、静かな時を与えてくれる。

高さ 80センチ
1720年頃
スペイン

売約済








2019.04.25 Thursday

面取りボトル

ガラス引き
久しぶりに出会いました!
発掘された8角の面取りボトル。
マニアの世界では、この手の森林ガラスはとても貴重な物です。
過去にもタミゼのブログにて紹介してきましたが、今回もベストな絵になる「割れた」ボトルです。

代々、子から孫へ大切に伝世として引き継ぐことが無い限り、無傷のボトルはほぼみつかりません。
なぜならこの薄さでわかるように、地中の圧力で簡単に割れてしまうからです。

緊張感のある繊細な佇まいをお楽しみください。

ガラス1
ガラス2
ガラス3
ガラス4
ガラス5
ガラス6
ガラス7
ガラス8
ガラス口元
ガラス底
高さ 13センチ
17世紀
オランダ
2019.03.16 Saturday

葡萄鉢



古伊万里の絵柄の中で、葡萄はありそうで意外と見つからない。
西洋はもちろん日本でも葡萄がモチーフとして好まれるのは、蔦は絡み合うとのことで幸を引き寄せる、
そして多く実を実らせることから子宝に恵まれるなど、縁起が良いとされるからだろう。
今回、僕がなぜこの鉢が気に入ったかというと、その柄が好きということもあるが、何よりも通常の伊万里の鉢では
見られない使い込まれた味わいにある。まるで洋鉢に見えてしまう。
日常、箸を使う日本ではここまで食器には傷がつかないはずだ。
代々江戸の昔から、大正、昭和と持ち主のどなたかが洋風の生活を取り入れ、ナイフとを多用し、
肉料理を切り分け、日々の楽しい食事に大活躍し、欠かさない存在だったのではないだろうか。
一匹丸ごとローストした鳥か?赤ワインで煮込んだ牛か?たまにはさっぱり筑前煮を盛ったのか?
洋を楽しみ、和もこなす、こんな鉢が僕は大好きだ。
さて、この鉢を次はどなたが受け継ぐか?





このユーモラスな見込みの五弁の花は、葡萄の実を意識しているのだろうか?




葡萄の房がバランスよくぶら下がるが、なぜか白い。


 


葡萄柄の鉢
直径 22.5 cm  高さ 9 cm
江戸後期
有田 九州
2018.11.08 Thursday

海外仕入れと、展覧会 「PETER IVY 2018」 開催

11月14日から〜11月30日まで、海外仕入れに行ってきます。
オランダ、ベルギー、フランスへ。今回はどんな美しいものが見つかるでしょうか?!
仕入れ期期間中は、恵比寿の店舗は通常営業致します。
11月20日(火)のみ臨時休業ですのでお気をつけ下さい。

そして、「PETER IVY 2018 」を開催致します!

期間 2018年12月8日(土)〜12月14日(金)
会期中は無休です。

彼にとっては一年に一度の大展覧会です。
今回のテーマは、「Light」と「Drink」
照明器具、ワイン用デキャンタ、オブジェ、、、貴重なアートピースが並びます。
タミゼの独特な店内をすべて使い、彼のガラスの世界をたっぷりと皆さんに楽しんでもらいます。
期間中店内では、貴重な制作行程を収めた動画も上映致します。
「このワイングラスや大皿はこうやって作るんだ!!!」と、
彼のスピード感あるハイレベルなテクニックにただただ感動することでしょう。
お楽しみに!


ピーターとアシスタントの細川さんは初日8日(土)、9日(日)の2日間在廊致します。

それでは、皆さんお待ちしております!

※ 注意事項 以下

開店初日からの2日間は混雑が予想されるため、快適に店内をご覧いただくために人数制限をさせていただきます。
なお、
皆様により多く楽しんでいただくために、お一人での「同品目のまとめ買い」は禁止とさせていただきます。
商品の種類にもよりますが、グラスや皿などの食器類は、お一人様6個まで購入可能。
皆様ご協力宜しくお願い致します。


ピーターDMフロント
ピーターDMバック
2018.09.20 Thursday

土砂降り、ずぶ濡れの猪口。

雨雲だ。
雨雲だ。

雨だ!
あっ、雨だ。土砂降りだ!


真っ暗だ!


雷だ!


稲妻だ!


貫入から雨漏りがすごいぞ!


割れも、ガラスで焼き継ぎだ!


直した職人のサインも朱で入っているぞ!



大雨、土砂降り、ゲリラ豪雨、ずぶ濡れ、雷神が暴れまくる。
なんてドラマティックなんだろう。

ダメージが味となり、絵に溶け込む大振りなそば猪口なんて、なかなかない。

土砂降り紋猪口と呼びたい。
時代も猪口中では、かなり古手の1700年頃
直径 9、2センチ
高さ 6センチ
2018.02.27 Tuesday

タミゼ復刻シリーズ 2 「本棚」

本棚1
本棚2
タミゼオリジナル復刻シリーズ 2 発売決定!

この復刻シリーズとは、過去に作られた無名作家の家具を忠実に再現製作する商品です。

前回は丸いスツールでしたが、今回は素朴な本棚です。

いつも家具の製作をお願いしている、頼もしい若き家具職人の高木克幸君が今回の品を見つけ出しました。
古道具屋の片隅に、寂しく放り出されていた状態で売られていたとのことです。
彼はタミゼに商品の納品で寄ってくれた際、嬉しそうに「これどうです?」と僕の前にちらつかせたのです。
かなり自分でも選ぶ目は厳しいですが、今回は素直に「素晴らしい」と降参しました。
こんな名品を君一人で楽しむのはもったいないと、即「復刻させよう!」となりました。笑

「ありそうでなかなか見つからない物」
「単純に見えて、よく見ると考えられて作られている」
「無駄のないデザイン」、、、。
日曜大工で作られた一品、町工場での少量生産ものなど、
過去に作られたものの中には名品がいくつもあったでしょう。
そんなものたちを独自な目線で見つけ出し、敬意を払い、もう一度日の目を見てもらおうと作り始めたのが、
このタミゼオリジナル復刻シリーズです。

お気に入りの本と共に、日々の生活に溶け込んで、丸く柔らかく味をつけて育ててもえたらと思います。

本棚3
本棚4
今回掘り出された古い本棚。これを元に製作を開始。

本棚5
本棚6
本棚7
左右の縦板は、溝に埋め込まれ、反りを防ぐと共に固定されている。

本棚8
すっきりとした薄さ。

本棚9

本棚10
木目を見ると、一枚板を薄く真ん中で二枚に裂き、反りを考えて左右にあてがっている。

本棚11
本棚12
よく見ると、角のアールの部分はヤスリで丸くしているのではなく、
カンナで削り、面の集合体で丸く仕上げている。

本棚13
もちろん復刻版は、カンナで面で丸みを再現。

本棚14
本棚15

幅  37、5cm
高  23、5
奥行 20、8
材質 ナラ材
価格 12,800円(税別)
2018.02.08 Thursday

スリップウェア

スリップ1
とても古いスリップウェアが、ぽつんと一枚イギリスの片田舎にありました。
店主曰く、この縞模様の皿は18世紀末頃にイギリスの北部で作られたものとのことです。
ぶつけたキズも見当たらないコンディションの良さはもちろん、何よりも使い込んだ味わいがたまらないです。

スリップ2
スリップ3
スリップ4
スリップ5
スリップ6
34、5cm X 28
18世紀末頃〜19世紀
イギリス
売約済