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2019.03.16 Saturday

葡萄鉢



古伊万里の絵柄の中で、葡萄はありそうで意外と見つからない。
西洋はもちろん日本でも葡萄がモチーフとして好まれるのは、蔦は絡み合うとのことで幸を引き寄せる、
そして多く実を実らせることから子宝に恵まれるなど、縁起が良いとされるからだろう。
今回、僕がなぜこの鉢が気に入ったかというと、その柄が好きということもあるが、何よりも通常の伊万里の鉢では
見られない使い込まれた味わいにある。まるで洋鉢に見えてしまう。
日常、箸を使う日本ではここまで食器には傷がつかないはずだ。
代々江戸の昔から、大正、昭和と持ち主のどなたかが洋風の生活を取り入れ、ナイフとを多用し、
肉料理を切り分け、日々の楽しい食事に大活躍し、欠かさない存在だったのではないだろうか。
一匹丸ごとローストした鳥か?赤ワインで煮込んだ牛か?たまにはさっぱり筑前煮を盛ったのか?
洋を楽しみ、和もこなす、こんな鉢が僕は大好きだ。
さて、この鉢を次はどなたが受け継ぐか?





このユーモラスな見込みの五弁の花は、葡萄の実を意識しているのだろうか?




葡萄の房がバランスよくぶら下がるが、なぜか白い。


 


葡萄柄の鉢
直径 22.5 cm  高さ 9 cm
江戸後期
有田 九州